《五年》(四)日本で初めての仕事を見つけた

(四)日本で初めての仕事を見つけた

面接当日は、オシャレをして車でMikuと高松空港に向かった。立派な空港のロビーに十数台のエレベーターが動き、活気にあふれている。道路標識をたどって、通路の突き当たりにあるレストランを見つけると、入口の脇にネオンサインとアイスクリームボックスと値札が二つ並んでいた。

私が来意を表明すると、スタッフが熱心に席に呼んでくれて、続いてアイス紅茶を出してくれた。朝早いから、まだ完全に目が覚めていないのに、コップの中のピンポン玉ほどの氷を見て、少しも飲む意欲が湧かなかった。面接のために、やはり飲まないことにした。万が一、飲み方が汚くなったり、途中で面接官が出てきたりしたらどうすればいいのか。そこで、氷をアイス紅茶の中でくゆらせると、ゆっくりと中に溶けていった。

容貌の若い男性が屏風の後ろから出てきて、丁寧にお辞儀をして、今日の面接官である太平だと自己紹介した。面接は三人が一緒にいる場で始まった。彼はまず私に仕事の履歴と目標給与を記入させて、それから私に基本的な情報を尋ね始めた。

「日本に来てどのくらいになりますか?」 

「1か月」

「中国で卒業した大学は公立ですか、私立ですか?」

「公立」

「勤務時間帯は何時から何時までいけますか?」 

「朝から夜までいいです。私の住んでいるところは近くて、車で5分しかかかりません。」

「採用するなら、まず3ヶ月の試用期間があります。3ヶ月後、私が社長に推薦状を書きます。その時、社長と面接してください。合格すれば、正社員になります。」

「はい、ありがとうございます。」

全体的に頼りないような気がしたが、家から近く、華やかな空港で仕事ができるということで、とりあえず承諾した。面接では、正社員になることを一心不乱に考えていたので、試用期間の時給の話を忘れていた。

面接が終わった後、太平さんの指示に従って、銀行に給料カードの手続きをしに行った。スーツを着た私は空港を出て香川銀行に直行した。途中、意気揚々と、銀行ホールに居るおじいさんやおばさんの注目のもとに銀行カードを手続きした。この時の私は1匹の魚のようで、広々とした海の中で漫遊し、層のうろこの波は風に乗って起き上がり、反射する日光を伴って、私の心を映している。 

日本に来て一ヶ月ほどで、ちゃんとした仕事を見つけて、嬉しそうな顔をした。

人は、「三人面接」などを含め、何でも大胆にできる。言葉が分からないのであれば、通訳できる第三者が現場にいてもいいのではないか。

世の中には、常に考えられる以上にできることがたくさんあるじゃないか。