《五年》(十二)神戸に引っ越す

(十二)神戸に引っ越す

2018年2月6日、高松からバスで神戸へ。

ネットで連絡した仲介会社を見つけると、仲介会社のお兄さんが車を走らせて間取りを見たいと予約していた部屋を案内してくれた。山の斜面の1階にあるアパートだった。パソコンで平面図を見ると、まあまあのようだが、唯一疑問なのは、オンラインの写真では窓が見えないことだ。

仲介会社の木下さんは1995年に、阪神大震災の直後に生まれた。無表情で、神戸各区の治安から来月結婚することまで、口ではおしゃべりが絶えなかった。

日本で部屋を見るのは、中国のように歩いたり、せいぜい仲介業者の原付バイクに乗ったりするのではなく、こちらでは仲介業者の人が車で連れて行くことが多いことを知った。寒風吹きすさぶ冬も、炎天下の猛暑も、体感快適な車の中でゆっくりと、選んだ部屋を見ることができる。

木村さんが第一軒目の部屋を案内してくれた。山の中腹に車が止まり、きれいで静かな階段を上ると、4階建てのビルが目に入り、「ネットに書いてある5階建てのマンションではないか」と胸がどきどきした。近づいてよく見ると、地下に半分埋まっている階があった。

ビルは山の中腹にあり、1階の片側には2つの窓が開いていて、反対側は完全に丈夫な土壌に密着している。困ったことに、窓のある側の向こうの反対側にもう一つのビルがある。そのため、入ってくる光は極めて少ない。真っ昼間、中に入ると、一瞬にしてどこかの洞窟に落ちたような感じがする。北京の地下室に比べて、少し恐怖と怪しい雰囲気が増している。何といっても、この反対側は土なのだ!

もしかすると、不吉なものが壁の反対側に隠れているかもしれない。何て怖いんだ!そこで、慌てて断った。

部屋を出ると、太陽の光はオレンジ色のワインのように透明なエメラルドのコップに注がれ、空気は水で洗われたように冷たく、草の香りがした。何て明るい日なのか。でも、美しい景色を見に行く時間がないので、急いで次の部屋を見に行った。

木下さんの会社に戻った後、私たちは彼の会社のホームページで物件を検索して、1時間後、受け入れられる範囲内の4、5件の選択肢があったので、急いで行って1つ1つを探った。私たちに残された時間は多くなく、夜はバスに乗って高松に帰らなければならない。

幸いなことに、この4、5件の選択肢の中から、部屋を見つけることができた。神戸市の中心部、阪急駅近くにある居心地のいい小さな巣だ。

高松の家は、家具がそろっていて、自分で神戸に引っ越してくるのは無理な話だった。日本では、たとえ仲の良い友達であっても、ほんのわずかな労力でも、簡単に相手を煩わし手伝ってもらうことは少ない。日本人の目には、正当な理由や特別な理由がない限り、すべて「相手に迷惑をかけること」だと思う。

そこで私達は全国チェーンの引越会社を探し、従業員は私達の家に1回様子を見に来て、品物の物量によって、見積した。私は中国の引越会社と比較すると高すぎると思ったが、日本市場の相場の価格に符合した値段だった。

引越業者から引越専用の段ボール箱を十数個渡してもらい、小物をすべて自分で梱包し、引越貨物車が来た日は引越業者の従業員が大きな家具の搬出を手伝ってくれた。こうして一つの家が高松から神戸に完全に移された。引越会社のサービスを言葉で形容すると、専門、細心、最上だった。

2018年2月26日、高松の家で軽く食事をした後、暖かいバスの車内で2時間以上もうとうとと眠り、目が覚めると三宮に着いた。JRで仲介業者まで部屋の鍵を取りに行き、三宮に戻り、神戸高速線で花隈駅下車、上り坂を歩いて新居まで。小さい家は5階建ての洋館の4階に位置して、見るのは2回目だが、依然として感動があった。赤レンガ色の外壁は青々とした大木の後ろに映えて、静かな廊下は茶色の防水床を合わせており、プライバシーが良いだけでなく、洋風の趣を漂わせていて、構造は簡潔でさっぱりとし、全体的に自然で調和がとれている。

部屋に入ると、しばらくしてWiFi設置会社の人がやってきて、畳の上に腹ばいになってルーターを調整した。その後、ガス会社の若者もドアをノックして入ってきて、ガスパイプとガスコンロをつなぐ金属のバックルを持ってきた。動作がすばやく、無料で新しい湯沸かし器を交換してくれた。

日本各地のガス事業者やガスの使い方には違いがあり、高松ではマンションの外にガス会社が定期的に運んできた大きなガスタンクがあり、使い切りそうになるとガス会社が新しいガスタンクを持って来てくれる仕組みだ。神戸のガスは都市部の集団ガス供給タイプで、パイプラインで各家庭に送られ、使用量に応じて費用がかかる。前者の方が後者よりも高くなる。ガスだけでなく、ガスコンロや配管も千差万別で、新居のガスコンロは高松で神戸の基準に合わせてあらかじめ用意して持ってきた。

この部屋の位置は交通が便利で、階下には桜の花がいっぱい植えられた小さい公園があり、都会の喧騒の中で静けさを取るのにちょうど良いところだ。神戸の山健組本部は、家のすぐ隣、20メートルほど離れたところにある。ここでは数年前に手榴弾事件があったそうで、今でも度々スーツ姿のメンバーたちを見かける。

この一帯のある家の1階の窓はすべて防弾ガラスで覆われており、山健組本部ビルは丈夫な鉄筋コンクリートで建設されており、周囲には多くのカメラが設置されていて、多くの緑が植えられている。

なんとも暗雲とした雰囲気だが、伝説ほどの恐ろしさは全くない。