《五年》(九)日本人客の「奇妙」な行為

(九)日本人客の「奇妙」な行為

全体的に言えば、日本人のお客さんは店員さんに敬意を払っている。言葉や行働は礼儀正しく、彼らは否定的な疑問形の構文で店員に尋ねたり、店員が料理を出すたびにはっきりと正しい発音で「ありがとう」を言ったりする。彼らはどのようにすれば店員の「客に感謝されたい」という心理を最大限に満足させることができるかを知っている。また、どのように適切に平等と友好を表現するかも知っている。

だが、何事にも二面性がある。このような素養の高さの反面、店員は客ならではの感情表現に慣れなければならない。彼らは自分を律するだけでなく、人をも厳しく律する。店員に対して示したすべての礼儀と修養はすべて客として望んだ相応程度の品質のサービスが行われるという前提の下で示したもので、もしサービスが彼らの心理的期待に達しないならば、私の目には「不可思議」に見える独特な行為が行われる。

日本人客の「奇妙な行動」には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない。もちろん以下の例はビッグデータの分析、処理を経ておらず、私個人の観察に基づいているだけだが、実際に起こったことだった。

客が一人で食事をするときは、几帳面な顔つきになっている。団体会食の時、特にほろ酔いの後、よく大笑いする。音量はデシベルが大きくて、日本人はささやくように会話するという世間のイメージを打ち破るほどだ。

客が入店するとき、店員が案内してくれるのが一般的だが、店員が指し示す席をわざと選ばない客が多い。

忙しい時に売り切れてしまう料理があるが、偶然それを注文してしまったら、店員が説明しながら謝っても、「どうして?どうして売り切れたの?」と大げさで信じられないような口調で聞く。

とんかつ定食のように、食べ方を知らないふりをする客もいる。とんかつ定食にはゴマとソースが付いており、客は店員を呼んで食べ方を聞いてくる。

一部の客は、自分が注文したい料理のメニュー上の位置が見つからないふりをして、店員を呼んだ後、「店の前の看板にある料理がないのはどうしてですか?」と、疑問の中に質疑を交えた口調で聞く人もいる。店員が返事もしないうちに、「ああ、ここにあったのか。気がつかなかった、すみません……」と独り言を言っておしまいだ。

暇な時、店員は台所の端に立っていて、新しい客が入ってきたことに気づかないことがあるが、彼らはわざと長い間入り口に立って、まっすぐ店員を見つめ、店員が彼らを発見するのを待って、そして店員が急いで前に走って来て謝り、彼らを席に案内するという対応の流れを楽しんでいる。

入り口からまっすぐ席に着いた後、3分以内に店員が氷水を持ってこなければ、次の3分もしないうちに、怒って席を離れる人もいる。店員がお客さんを尊敬していないと思っているからだ。

レストランの一番奥にある3つのテーブルには、翌日のパイロットの朝食皿を置く必要があるため、「予約席」の札が置かれているが、一部の客はこれらの席に直行し、他の十数席の空席を見て見ぬふりをしていた。この時、礼儀正しく退席を勧めると、予約席に最も近い空いた席ではなく、予約席から最も遠い席を選ぶ。

忙しい時、入り口に「店内満席」という立て札が置かれていたが、多くの客は札を無視したり、満席の店内を無視したりして、店員に「満席ですか?あとどのくらい待ちますか?」と尋ねた。もう一つのケースは、店内が満席から非満席に変わったのに、店員が立て札を取り忘れたときだ。空っぽのホールを見て、立て札を指さして「ここに看板が置いてあります。満席ですか?入ってもいいですか?」と聞く。

客は一人で食事に来て、一人席ではなく四人席を選ぶ。店員が一人席に座るように勧めると、憤然として店を出ることもある。

同じグループの客が同時に入店しない。例えば一行4人で来て、2人先に入ってきて、店員が人数を聞かずに氷水を2杯持ってきた場合、「あと2人……」と言って約3分後に別の2人が現れる。このように1つのグループを2つに分けて、数分間隔で入店する方式はよく見られる。

客がコーヒーを注文するとき、店員は熱いのか冷たいのかを聞かず、天気によって自分で判断してしまうと、往々にして間違えることがある。真冬にアイスコーヒー、真夏にホットコーヒーを求めることが少なくないが、これらは店員さんの心の中での判断とは正反対だ。

客が牛肉うどんを注文し、店員が持ってくると、自分が注文したのはじゃこ天うどんだと言ったり、3分前に自分の口でチョコレートケーキと言っていたのに、さっき注文したのはチーズケーキだと目を開けて嘘をついたりすることもある。

一回ごとに店員を呼んでひとつの料理だけを注文し、一度食べてベルを五回鳴らし、五回注文した客もいる。

会計の際、店員が客にクレジットカードが使えないと伝えると、彼らはびっくりし、信じられない様子で、怒って不本意に別のカードを取り出し、「おかしい。どうして使えないの?」と悔しそうにつぶやいた。カード読み取り機が信号を送信するのに時間がかかりすぎると、彼らは「どうしてこんなに長くかかるの?」といらいらすることもある。

おつりの際に、100円玉がなく、事前に説明せずに10円玉を山のように渡してしまうと、失礼だと怒ってしまう。

客が誤ってコップをひっくり返したとき、店員はすぐに拭いて乾かし、新しい氷水を手渡さなければならない。

客がテーブルの上の醤油瓶をひっくり返すと、店員はすぐに客をなだめて、「大丈夫です。私に処理させてください。」と言う。

客が1つの料理を食べ終わったら、すぐに空の皿を受け取ってテーブルの上に空間を空けなければならない。

客が注文した飲み物を提供するのは、食前なのか、食後なのか、食事中なのか、はっきり聞く必要がある。

要するに、多くの状况の下で、日本の客は謙虚で礼儀正しく婉曲だが、ときに文化の根源にある独特の「変な特徴」を現すことがある。目を見張って大袈裟に驚いたような口調を装って、少し神経質な目とあまりにも厳しい心理的な期待がある。

小さなレストランでは、日本社会の「誰もが自分にも他人にも自制を強要する」度合いの深さを反映している。